母の話
母の話。母の話。
父ほど話すことがないように感じる。
仲が悪いのか?そんなことはない、毎年一緒に旅行をする。
存在感が薄いのか?聞かれればそんな事はない。強烈だ。
見た目が?そんなことはない。派手でも地味でもないごく普通、
とんでもない毒親なのか?そんなこともない。いや、どうだろう。
つまりはまあなんというか、一番近くて一番遠い他人だ。
見た目は中肉中背、丸顔、年の割に若くは見えるが、
口癖「人生なるようにしかならないのよ」
好きな物「北杜夫とインカ帝国」
趣味「石集め。集めた水晶やらなんやらで祭壇を作ること」
特技「サスペンスドラマの犯人を当てる」
なんだかひどくいい加減な女だ。
母親というのはどれも同じだろうかアド街ック天国で紹介された場
娘はそれほどでもないが東京で働いている娘は大好きだ。
私が母の恋愛にブルースウィルスの毛ほどの興味がないのと同じく
先日父の命日にプラネタリウムが見たいとリクエストされた。
「丁度命日だし、あの人は星が好きだったから」
本当に空気感だけで生きている女だ。
スカイツリーの眺めの良いレストランを予約して2人で昼からシャ
小さい頃からインカ帝国が好きで好きで、
私の驚きを酔っ払いの母は感じなかったようだ。
初めて母を母親としてでなく一人の人間として感じた。
ずっと合わないと思っていたけど同級生だったらもしかして、
そう思えた今年の父の命日(仮)だった。